ただし、2つの家庭が同居しているわけですから、登記の方法などには注意が必要です。
二世帯家庭の住宅ローン
親世帯と子世帯が同じ家に住む二世帯住宅は、経済的にも精神的にも支え合うことができてメリットは大きいです。
ただ、一歩間違えると大きなトラブルを生んでしまうこともあり得ます。
二世帯住宅ならではの資金計画の特徴を知り、リスクを回避しましょう。
二世帯住宅の資金計画
二世帯住宅では、子世代にとっては親世代に子供の面倒を見てもらうことができたり、親世代にとっても子供や孫がそばにいる安心感があったりと、親子で支え合って生活することができるのが特徴です。
もちろん資金面に関しても、子世代と親世代で協力して住宅ローンを返済できるので負担が軽くなるのがが良いところです。
子供名義で住宅ローンを借りようとしたときに、もし収入基準を満たしていなければ、親の収入も合わせて審査してもらうこともできます。
また、親子リレーローンや親子ペアローンなど、住宅ローンの多彩なプランを利用しやすいのも、二世帯住宅ならではのメリットです。
二世帯住宅の注意点
一方で、二世帯住宅ならではの注意点もあります。
家を建てるために、こんなトラブルが起こることがないか考えてみましょう。
相続時のトラブルに注意
たとえば親が所有している土地に子供が住宅を建てた場合、相続時に土地の所有権について兄弟間で揉めてしまうことがあります。
後々トラブルにならないようにするためには、親が遺言書の準備をして事前に取り決めておいたり、土地以外の相続財産(貯金や保険など)を兄弟に用意するなどの対策を考えておく必要があります。
諸費用がかかる
2つの世帯が暮らすための二世帯住宅は、建物が大きくなってしまいがちです。
そうなるとその分メンテナンス時などの諸費用も多額になってしまいます。
住宅購入の資金だけではなく、購入後に発生する費用もあることを忘れてはいけません。
どんな費用を誰が負担するかも最初に決めておいた方がトラブルになりにくいでしょう。
二世帯で住めなくなってしまった場合……
親子で一緒に住んではみたものの、生活するうちに折り合いが悪くなり、どちらかの世帯が出ていくといったケースも実は珍しくない話です。
そうなると、親子で分担して住宅ローンを返済するつもりだったのに、資金計画が大きく狂ってしまうということにもなりかねません。
協力すれば返済の負担も軽くなる一方で、感情面の破綻が経済面での破綻に直結するのが二世帯住宅の注意点と言えるでしょう。
二世帯住宅の登記
3つの登記方法
二世帯住宅で注意しなければならないのが、登記のしかたです。
二世帯住宅とひと口に言っても、完全同居なのか、玄関やキッチンを分けた完全分離型なのかなど、どのように家を建てるかによって、実は登記の方法が異なります。
登記の方法には大きく分けて以下の3つがあります。
- 共有登記
- 単独登記
- 区分登記
1つの建物に対して、親と子がそれぞれ出資した資金の割合に応じて登記するのが共有登記です。
夫婦でそれぞれお金を出し合って家を買うときも同様ですが、住宅ローンを親子で別々に借りたり頭金を負担したりした場合は、そのお金を出した人の名義で登記をしなければ贈与があったとみなされてしまうので注意しましょう。
親か子のどちらか一方が資金を準備する場合には、単独登記ができます。
ただし、単独登記をする際には、親世帯・子世帯が家の中を行き来できるような間取りにするなどの条件が定められています。
区分登記は、住宅の所有権を親世帯と子世帯で完全に分けるという方法です。
区分登記をする場合は、間取りに関して、親世帯と子世帯の居住の境に壁を設けてそれぞれに独立した玄関を作るなどの条件があります。
登記のスタイルと税金
どの登記の方法を利用するかによって、選べる住宅ローンや受けられる税金の優遇が異なってくるので、注意が必要です。
たとえば、親と子がそれぞれ融資を受けて、両者で並行して返済していくという親子ペアローンの場合、取り扱いは民間ローンが中心ですが、登記の方法を区分登記にすればフラット35も利用することができます。
その際に家の間取りを完全分離型にすれば、住宅ローン控除は親子それぞれのローンに適用されます。
不動産取得税の優遇枠を2人分利用できることになるので、住宅購入時には税金面でもかなりお得になります。
共有登記の場合でも、親子別々にローンを借りていれば、それぞれが住宅ローン控除を利用できます。
また、区分登記にした場合や親の名義で単独登記をした場合は、将来的に相続税が発生する可能性が高くなります。
まとめ
- 二世帯家庭は資金面のメリットも大きいが、二世帯家庭ならではのトラブルが起こる可能性も
- 家の間取りや資金の出所によって登記の方法が異なる
- 登記の方法によって住宅ローン選びや税金優遇などにも差が出るので、事前にしっかり計画しておきましょう
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